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【 ノンベジの王 】 マドゥライからチェンナイへ。チェッティナードのノンベジのインド料理を辿る旅の終着駅。ここまですでに驚くべきレストランに毎日出会ってきて、流石にもうこれ以上ないだろうと、自分の中の南インド、ノンベジの基準もできただろう頃に出くわした。 トラウザーカーダイレストラン。 表に店名などなく、黄色い壁の奥は昼間でさえ漆黒の闇であり、さながらくるものを拒むかのように佇むチェンナイの名店。 インドでさえ今は少なくなった、熱源に全て薪を使う料理。グランシェフはこの、ただでさえ暑くてたまらないチェンナイに於いて、さらに轟々と木を燃やすサウナ以上の暑さの厨房でカレーを作る。 チキン、ブレイン、マトンチュカ、マトンコラ。ラッサムにサンバル 、ジャガイモとオクラのザブジ、フィッシュのグレイビー。 とにかく何もかもが最高。味も最高だし人も最高。インド人特有の、愛想笑いなど一切ないが喋りかけるとちゃんと答えてくれるし、少し喋ると途端に笑顔も見えてくる、そんなとてもとても、深みのある温かさで。そう、厨房だって喜んで見せてくれる。 そしてそれらは、とてもシンプルなのに注意深く作られ、素晴らしい豊かな味わいとなる。 全てが最高のレストラン。そして、そうだよ、こういうお店にきたかったんだよ。という全てがパンパンに詰まってた。